"Tangerine"/ロサンゼルス、夕焼け色のクリスマス・イブ

クリスマスを題材にした映画といえば『素晴らしき哉、人生!』、『ラブ・アクチュアリー』、『めぐり逢えたら』など沢山あるけれど、変わり種というか、「こんなクリスマス映画もいいじゃない!」と思った一本が『タンジェリン』("Tangerine")。監督はショーン・ベイカー。プロデューサーにはデュプラス兄弟も名前を連ねている。


▼予告編


 

ロサンゼルスのクリスマス・イブ。サンタモニカ・ブルーバードに実在する「ドーナツ・タイム」店内から物語が始まる。トランスジェンダーセックスワーカーのシン・ディ(Kitana Kiki Rodriguez)は、同業の友人で歌手志望のアレクサンドラ(Mya Taylor)から彼氏が浮気していることを知り、浮気相手を探し回る。

浮気相手を見つけ出してこらしめようとするシン・ディ、夜にカフェでのコンサートを控えているアレクサンドラ、そしてアルメニア移民のタクシー運転手ラズミック(Karren Karagulian)、三人の人生が交差する一日を描いたコメディ・ドラマ。


予算を抑えるために全編iPhone5Sで撮影されているという。褐色の肌、金髪、夕焼け空、乾いた壁の色。ロサンゼルスの夕焼け空の色から付けられたというタイトル同様、映像も橙がかっているのが印象的だ。

f:id:mazemazegirl:20160413153810j:plain

 音楽に関しても、一部を除いてVineSoundcloudで見つけた新進気鋭のインディーズアーティストを起用している。ベートーヴェンの「コリオラン序曲」に、徐々にドラムの音が重なってゆき、トラップミュージックに変わるところは最高の一言。

インタビュー(※1)で監督が、「ガソリンスタンドで洗車(中の車内)をワンテイクで撮ってみたかった。今までなかったのが不思議なくらいだ。」と答えているのですが、それであの洗車セックスシーンが生まれたと思うと感激してしまう。かなり直接的な下ネタシーンもあり苦手な人もいそうだけれど、どことなく哀愁を漂わせながら、力強くしなやかに生きている彼女たちの姿にひたすらに魅了されるのである。

 

Tangerine (2015) - IMDb

 

▼サウンドトラック

soundcloud.com

 

(※1)“We Didn’t Fictionalize Much”: Sean Baker on Tangerine | Filmmaker Magazine